12/05/2022
メキシコ初の公立バイリンガル大学では、多くの科目が英語で教えられており、学生たちのサクセスストーリーが至るところで見られます。Aguascalientes(アグアスカリエンテス)市にあるThe Universidad Tecnologica el Retoño(レトニョ技術大学)に入学する学生は、低所得者層が多いのですが、大学の強力なモビリティプログラムを通じて、ドイツ、カナダ、米国など遠方のコースに定期的に参加しているのだそうです。成功のカギは何なのでしょうか。同大学の言語学部長であるミシェル・バレンシアさんは、さまざまな要因のうち、特に英語に力を入れていることが要因であると語っています。「英語を学ぶと、学生たちは違った考え方をするようになります。より良い仕事や給料を得るだけでなく、別の生き方を知ることができるのです」。
2012年に設立された同大学は、メキシコ初の公立バイリンガル大学です。弊機関Cambridge University Press & Assessmentの英語運用力試験を多数導入しています。バレンシアさんが言うように『ケンブリッジはメキシコで広く認知され、可能性の扉を開ける存在』であることから、この決断をしたといいます。これには、2018年から使い始めたケンブリッジのAI搭載のスピーディなオンライン英語テスト「Linguaskill(リンガスキル)」を使い、卒業前の学生の英語の上達度をテストすることも含まれています。
グローバル化した世界に立ち向かうための準備
同大学のアプローチの中心となるのは、BIS(バイリンガル、インターナショナル、サステイナブル)と呼ばれるモデルです。このモデルを通じて、情報通信技術、工学、ビジネスマーケティングなど、さまざまな科目を英語で教えています。バレンシアさんは、このモデルによって、メキシコの学生がグローバル化した新しい世界に立ち向かう準備をすることができると話します。メキシコでは、英語を話す人はほとんどいません。ですから、私たちがやろうとしていることは、学生たちがもっと就職に有利になるように、他の言語を話すだけでなく、文化的な理解を深めることによって、もっと世界に目を向けるようにすることです」と、バレンシアさんは説明します。「興味深いことに、以前は、学生は英語を選択肢の一つとしてとらえていましたが、今では英語は必須です」と彼女は言います。
1学期は2科目だけ英語で学び、2学期は4科目に増やします。「学生が本当に学んでいるかどうかを確認するために、常に英語力をテストするように設計されています」とバレンシアさんは語ります。学生は主に2つの時点でテストを受けます。大学入学時にケンブリッジのプレースメントテストを受け、学期末には英語の上達度を確認するためのテストを受けるのです。例えば、学生は3学期末までにB1レベルに到達しなければなりません。Linguaskillは、卒業前の学生のテストにおいて大きな役割を担っています。バレンシアさんは、Linguaskillを採用した理由を「学生がバイリンガルであること、そして実生活で英語を使えることを保証してくれる試験だからです」と話します。
「Linguaskill は、これらの要件をすべて満たしていました。」
しかし、大学の多様な要求をすべて満たす試験を選ぶことは容易ではありませんでした。「国際的に広く認知されている試験を求めていたので、本当に苦労しました」とバレンシアさんは振り返ります。「文法だけでなく、4技能を評価できるテストも求めていました。メキシコでは、基礎教育で英語を学んでいても、実際の生活でその言語を使うことができないという問題が時々ありますから。また、手頃な価格であることも必要で、Linguaskill はこれらの要件をすべて満たしていました」。
しかし、英語だけが全てではないとバレンシアさんは指摘します。日本語、フランス語、ドイツ語など、第三言語を学ぶチャンスもあります。同大学は、自動車製造業で力をつけている州を拠点としているため、こうした第3の言語を学ぶことで、この分野での学生の就職力を高めることができる、というわけです。
バレンシアさんは、学生を誇りに思い、こう結びます。「私たちは、生徒たちの成功例をたくさん見てきました。それが、私たちが良い方向に向かっていると思わせてくれる一番の理由です。」
レトニョ技術大学について詳しくは、https://utr.edu.mx/ をご覧ください。